部材の製造・販売に加え、商社機能も併せ持つ企業です。基幹システムには多種多様な製品が大量に登録されていますが、受注・物流・請求に関する最低限の情報しか管理されていません。そのため、営業がお客様から基幹システム外の情報を求められた際には、他のデータや担当者への確認が必要となり、手間や時間がかかってタイムロスが発生しています。
なるほど、それは営業現場での応対効率にも影響しますね。
実は、他のお客様でも「基幹システムに登録されていない情報」を探すために、毎回ファイルサーバやExcel、別システムのデータを手作業で見て回っているケースがありました。そういった状況では、システム間をまたいだ横断的な検索ができないのが大きなネックになっているのです。
そこで私たちは、既存の基幹システムを改修するのではなく、“そのまま”活かしながら、他のデータとつなぐ仕組みをご提案しています。具体的には、仮想統合の技術を用いて、ファイルサーバや共有フォルダにある商品詳細、提案資料、図面などの情報も含めて、営業の方が一画面で検索・参照できるようにできます。
さらに、各データのキーとなるデータにバラつき(ゆらぎ)がある場合には、事前にデータをクレンジング・整備しておくことで、検索性も精度も格段に上がります。
「今あるデータをいかに“使える状態”にするか」——それが、私たちの得意分野です。
お客様の具体的な課題やニーズにお伺いし、最適なソリューションをご提案します。
「どんな情報を探す場面で困っているのか」「それらの情報がどこに、どんな形で存在しているのか」「業務上どれくらいの頻度で発生するのか」などをヒアリングさせていただきます。
これらの情報を基に、提案させていただきますので、詳細なご要望をお聞かせください。
営業・購買・物流が“つながる”
商社機能を持つ製造業の対応業務で必要な情報一覧
商社機能を持つ製造業では、顧客ごとに異なる要望に応じた柔軟な対応が求められます。その際、基幹システムにある情報だけでは足りず、他の部門が管理しているデータも参照しなければならない場面が多々あります。本一覧は、営業・購買・物流それぞれの業務で、顧客対応をスムーズに行うために必要な情報項目を俯瞰するためのものです。全体像を把握することで、どのデータをどこで持つべきか、どの情報を連携すべきかの判断に役立ちます。
項目 | 情報・データ群 |
---|---|
1. 商品・在庫に関する情報 | ・製品カタログ情報(仕様・寸法・材質・写真など) ・在庫状況(数量、保管場所、引当可能数) ・ロット情報(製造日、入荷日、ロット番号) ・他社取扱品の情報(メーカー品番、代理店価格など) |
2. 価格・コストに関する情報 | ・販売価格(得意先別価格、数量割引条件など) ・原価情報(仕入原価、加工原価、輸送費など) ・粗利・利益率情報 ・過去の見積履歴 |
3. 受注・納期に関する情報 | ・受注履歴(注文日、内容、担当者) ・納期予定/実績(リードタイム、遅延理由など) ・配送状況(出荷日、配送番号、配達完了確認) ・混載配送情報(他社商品との組み合わせ状況) |
4. 顧客に関する情報 | ・顧客基本情報(業種、所在地、担当者連絡先) ・商談履歴(過去の対応内容、要望、クレームなど) ・顧客別の契約条件(支払条件、個別対応事項) ・継続案件・提案中案件の進捗状況 |
5. 品質・技術情報 | ・製品検査結果・品質証明書(ミルシートなど) ・不具合履歴・対応状況 ・製品別の技術資料(図面、取扱説明書など) ・過去の仕様変更・改善履歴 |
6. 法令・取引関連情報 | ・各種認証・規格情報(JIS、RoHS、REACHなど) ・輸出入に関わる書類(インボイス、原産地証明など) ・保管・輸送における注意事項 |
7. 商社機能特有の情報 | ・メーカー在庫やリードタイムの確認手段 ・他社製品の取扱範囲と価格変動情報 ・仕入先別の対応履歴・信頼性情報 |
バラバラの情報を“つなげる鍵”
データを結びつけるキー項目と連携のしかた
業務で発生するさまざまな情報を有効活用するには、それぞれを“つなぐ鍵”となる共通の識別子<キー項目>の設計と活用が不可欠です。商品コードや得意先IDなどを軸に情報を連携させることで、散在するデータが一貫性を持ち、営業や顧客対応の質が大きく変わります。ここでは、見積・納期確認・クレーム対応・チーム営業・利益管理など、実際の業務シーンごとに、キー項目を用いたデータ連携の具体例と、それによって得られる効果をご紹介します。
【1】見積・提案の迅速化と精度向上
お客様からの引き合いに対して、スピーディかつ的確な見積・提案を行うためには、過去の履歴や価格・原価情報がすぐに引き出せる状態が重要です。
活用例
- 過去に同様の仕様で提案した商品を確認し、参考価格を素早く提示する
- 顧客別の割引条件を即時参照し、個別対応価格をその場で提示する
- 提案中の商品に関連する技術資料やスペックシートを即時添付する
キー連携の例
迅速かつ根拠ある提案には、過去データや価格・仕様情報への即時アクセスが不可欠です。過去にどのような商談があり、何をいくらでどのように提案したのかを「鎖」のようにたどれる構造が、営業の提案力を支えます。
項番 | 主キー | 対象データ | 説明文 |
---|---|---|---|
1 | 顧客ID | 顧客基本情報、商談履歴(案件ID) | 顧客IDを使って、顧客の基本情報と過去の商談履歴(案件ID)を確認する |
2 | 案件ID(または商談ID) | 見積ID、提案商品 | 案件IDを使って、該当商談で提示された見積や提案商品を呼び出す |
3 | 見積ID | 商品コード、単価、数量、見積条件 | 見積IDを使って、商品ごとの単価や数量、見積条件の履歴を確認する |
4 | 商品コード | 商品マスタ(仕様・型番)、図面、技術資料 | 商品コードを使って、仕様書や図面、提案資料などの技術データを参照する |
このように、顧客IDから始まり、案件ID → 見積ID → 商品コードとキーを順にたどることで、営業担当者は「誰に、何を、いくらで」提案したかをすばやく把握できます。これにより、再提案の質が高まり、顧客への信頼性ある提案活動が実現します。
【2】納期確認・出荷対応のスムーズ化
営業が現場や倉庫へ都度確認せずとも、即座に納期や出荷状況を把握できれば、顧客対応のスピードと信頼性が高まります。
活用例
- お客様からの「今発注したらいつ届く?」という問い合わせに即回答する
- 出荷済みか未出荷かを把握して、督促や調整の手配を行う
- 配送状況や配送会社の追跡番号を通知し、顧客の不安を解消する
キー連携の例
顧客からの「いつ届くの?」「もう出荷された?」といった問い合わせに対し、営業担当者が現場に都度確認せずとも、在庫状況・出荷予定・配送進捗までを一貫して把握できるようにするためのデータ連携です。スピーディな納期回答やトラブル時の早期対応を実現し、顧客満足度と業務効率の両立を図ります。
項番 | 主キー | 対象データ | 説明文 |
---|---|---|---|
1 | 顧客ID | 顧客マスター、受注情報 | 顧客IDを使って、受注番号を特定する |
2 | 受注番号 | 在庫数、引当状況、保管ロケーション | 受注番号を使って、商品コードを特定する 注文された商品の在庫状況や保管場所を確認する |
3 | 受注番号 | 出荷番号、出荷予定日、納期回答 | 受注番号を使って、出荷番号を特定する 該当注文に対する出荷の予定日や納期情報を取得する |
4 | 出荷番号 | 配送会社、配送状況、伝票番号、配送日 | 出荷番号を使って、配送情報を取得する |
このように、「受注番号 → 商品コード → 出荷番号」とキーをつなぐことで、営業やカスタマーサポートは注文品が今どの段階にあるか(在庫/出荷準備/配送中)を即座に把握でき、顧客への納期回答や進捗共有をスムーズに行えます。
【3】クレーム・不具合対応の効率化
製品トラブルが発生した際に、対象ロットや出荷先、品質情報を即時に把握できる体制は、営業の迅速な顧客対応に不可欠です。
活用例
- クレーム対象の製品について製番からロットを特定し、他納品先への影響を調査する
- 品質証明書や検査記録を確認し、不具合発生の原因を営業が共有する
- 再発防止のための改善履歴を確認し、顧客に対して技術部と連携した回答を準備する
キー連携の例
不具合品への対応では、「どの製番の製品がどこに出荷されたか」をたどることが重要です。迅速な原因特定と影響範囲の把握によって、顧客対応のスピードと信頼性が大きく向上します。
項番 | 主キー | 対象データ | 説明文 |
---|---|---|---|
1 | 製番(製造番号) | 商品コード、製造日、ロットNo | 製番を使って、対象となる製品の品番や製造情報を特定する |
2 | 製番 | 品質検査結果、合否判定、ミルシート | 製番を使って、その製品の品質記録や検査結果を取得する |
3 | 製番 | 出荷履歴(顧客ID、出荷日、数量) | 製番を使って、該当製品がどの顧客にいつどれだけ出荷されたかを把握する |
4 | 製番 | クレーム履歴、過去対応、関連案件ID | 製番から商品コードを特定する 特定した商品コードを使って、その商品に対し、過去に同様の不具合や対応履歴がないかを確認する |
このように、「製番 → 出荷履歴 → 商品コード」とキーをつなぐことで、営業や品質管理は不具合の発生源・影響範囲・過去の対応内容をすばやく把握でき、顧客に対してスピーディかつ的確なフォローアップが可能になります。
【4】属人化の排除とチーム営業の実現
担当者依存を防ぎ、誰が対応しても顧客の背景が把握できる仕組みを整えることで、チームによる営業活動が可能になります。
活用例
- 担当交代時にも、商談履歴や対応メモを共有し、継続的な対応ができる
- サブ担当でも、見積や提案の根拠を把握して、即座に顧客対応ができる
- 社内ミーティング時に、顧客単位の活動履歴をもとに議論を行う
キー連携の例
営業メンバー全員が、顧客の背景や提案状況を共有できるようにするための連携です。誰が担当しても一貫した対応ができる体制を整えることが、営業の信頼性と生産性を高めます。
項番 | 主キー | 対象データ | 説明文 |
---|---|---|---|
1 | 顧客ID | 顧客基本情報、過去商談(商談ID) | 顧客IDを使って、顧客の属性情報やこれまでの商談の履歴を確認する |
2 | 商談ID | 商談内容、提案履歴、見積ID | 商談IDを使って、顧客との個別のやり取りや提案内容を特定する |
3 | 見積ID | 商品コード、価格条件、見積履歴 | 見積IDを使って、提案に紐づく具体的な商品の価格や条件を確認する |
このように、「顧客ID → 商談ID → 見積ID」と連携することで、個々の営業担当の対応履歴をチームで可視化し、顧客に対して一貫性のある対応や引き継ぎが可能になります。属人化を防ぎ、誰でも即応できる営業体制を実現します。
【5】アップセル・クロスセルのヒント発見
受注傾向や過去の提案内容を活かすことで、顧客ごとに最適な追加提案・関連提案を導き出すことができます。
活用例
- 同業他社が導入している組み合わせ商品を、提案のヒントにする
- よく購入される商品に対して、セット販売や上位グレードを案内する
- 購入頻度が高い商品から、年間契約や定期購入を提案する
キー連携の例
顧客の購買傾向を可視化し、次なる提案につなげるための連携です。購入履歴を起点に関連製品や上位製品の提案機会を見つけることが、提案の質と売上向上につながります。
項番 | 主キー | 対象データ | 説明文 |
---|---|---|---|
1 | 顧客ID | 過去の受注履歴、商品コード、購入頻度 | 顧客IDを使って、過去にどの商品をどれくらい購入しているかを把握する |
2 | 商品コード | 商品カテゴリ、シリーズ情報、関連製品 | 商品コードを使って、該当商品のグレードや周辺製品を特定する |
3 | 顧客ID × 商品コード | 購入傾向、併売傾向、リピート履歴 | 特定の顧客が特定の商品をどのタイミングでどれだけ買っているかを分析する |
4 | 商品コード | 提案履歴、販促資料、セット提案情報 | 商品コードを使って、過去に提案した販促資料やアップセル提案を再活用する |
このように、「顧客ID → 商品コード」とキーをつないでいくことで、営業担当者は顧客のニーズに合った関連商品や上位商品を適切なタイミングで提案することができ、アップセル・クロスセルの成功率を高めることが可能になります。
【6】情報共有・引継ぎの円滑化
顧客とのやり取り内容や背景をきちんと記録・連携しておくことで、引き継ぎや社内共有の際にもスムーズな対応が可能になります。
活用例
- 引継ぎ時に、顧客ごとの個別対応条件や過去の商談内容を確認する
- 顧客の要望履歴やNG条件を新担当が把握してトラブルを未然に防ぐ
- 定例会議で、進行中の案件や課題を部門間で共有する
キー連携の例
顧客対応の過去から現在の履歴をチームで把握し、スムーズな引継ぎを行うためのデータの流れです。情報の断絶を防ぎ、対応の一貫性とスピードを確保することが目的です。
項番 | 主キー | 対象データ | 説明文 |
---|---|---|---|
1 | 顧客ID | 顧客基本情報、過去の商談ID | 顧客IDを使って、誰がどのような対応を行ってきたかを商談単位で把握する |
2 | 商談ID | 商談内容、活動メモ、決裁状況、関連ドキュメント | 商談IDを使って、提案や交渉の内容、承認プロセスの進捗を確認する |
3 | 商談ID | 担当履歴、関与時期、過去対応の詳細 | 商談IDを使って、誰がどのフェーズで関与していたかを記録する |
4 | 顧客ID | 特記事項、注意事項、クレーム履歴 | 顧客IDを使って、顧客ごとの注意点や過去のトラブル事例を確認する |
このように、「顧客ID → 商談ID」とキーを順にたどることで、過去の商談内容と対応履歴が明確になり、誰が引き継いでもスムーズな顧客対応が可能となります。属人化を防ぎ、チーム全体での継続的な顧客対応が実現します。
【7】利益管理・条件交渉
粗利や値引き履歴、条件変更の経緯をもとに、適切な価格戦略と交渉材料を持って商談に臨むことが可能になります。
活用例
- 顧客ごとの利益率を把握し、値引き余地を可視化する
- 過去の交渉履歴から、再値引きの可否や条件変更の根拠を確認する
- 売価と原価の履歴をもとに、営業が価格戦略を策定する
キー連携の例
価格交渉に説得力を持たせるには、過去の利益・交渉履歴・コスト構造を可視化することが鍵です。事実に基づいた条件提示により、利益を確保しつつ、顧客との信頼ある交渉を実現します。
項番 | 主キー | 対象データ | 説明文 |
---|---|---|---|
1 | 商品コード | 商品マスタ、標準単価、カテゴリ情報 | 商品コードを使って、該当商品の基準価格やカテゴリを確認する |
2 | 商品コード | 顧客別価格、値引き条件、契約条件 | 商品コードを使って、個別の取引条件や過去の値引き履歴を把握する |
3 | 見積ID | 見積価格、数量、提示日、過去の交渉履歴 | 見積IDを使って、過去の提案価格や交渉履歴を確認する |
4 | 原価ID(またはロットID) | 原価構成(仕入原価、加工費、物流費)、利益率 | 原価IDを使って、コスト構造を明確化し、利益率を算出する |
このように、「商品コード → 見積ID → 原価ID」とキーをたどることで、営業担当者はどの商品を、どの顧客に、どの価格で提案し、どの程度の利益を出していたかを一目で把握できます。これにより、感覚ではなく根拠ある価格交渉が可能となり、収益性と関係性の両立を実現します。
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