課題別ご提案例各部門のデータが連携されてない…全体を俯瞰できないため、迅速な経営判断ができない

お役様のお悩み

営業・生産・品質など、部門ごとにデータは揃っているのですが、システムやファイルが分かれており、全体を見渡すことができません。必要なデータを探すだけで時間がかかり、迅速な判断が難しい状況です。
経営層からは“データに基づく意思決定”を求められていますが、現状では部門単位の部分的な情報にとどまっており、全体を統合した視点を持つことができずに困っています。

JIMの提案

データが分断されたままでは、経営判断に必要な“全体像”をつかむことができず、現場の報告も部分的にならざるを得ません。結果として、判断が後手に回ったり、経営層からの要望に十分応えられなかったりする状況が生じやすくなります。

一般的な対応としては、複数部門からデータを収集して一元的に集約し、共通の基盤で活用できるようにする方法があります。たとえば、取引先コードや品目コードを部門間で統一してマスタを整備すれば、バラバラの表形式データを結合できるようになり、全体像を把握しやすくなります。こうした取り組みによって、同じデータを共通の“ものさし”で活用する環境をつくることが可能になります。

データを組み合わせて活用できるようになれば、経営判断の幅は大きく広がります。営業データと生産データを突き合わせれば、需要変動と生産計画の整合性を確認できますし、原価や調達データをあわせて見れば、利益構造を可視化し、経営層に説得力のある説明を行うことができます。

私たちは、このような「複数データをつなげて見える化する」取り組みを、既存のシステムやファイルを大きく改修せずに実現できる方法をご提案しています。散在する情報をそのまま活かしながら横断的に参照できる環境を整えることで、短期間で全体像を把握し、小さな成功体験を積み重ねながら活用の幅を広げていただけます。

まずは現在お使いのデータの状況をお伺いし、最適なアプローチをご提案いたします。どのような情報をどの場面で活用したいか、ぜひ詳細なご要望をお聞かせください。

散在するデータを整理して“見える化”する方法

全体を見渡せない状態から一歩抜け出すために、最初の一歩をどう踏み出すか悩むことも多いものです。
そこで、散在するデータを段階的に整え、“見える化”へとつなげるための進め方をまとめました。
Excelでもできるデータの所在一覧(管理台帳)の作成や、マスター整備のコツなど、現場で試せるヒントをご紹介します。

データ統合までの流れを整理する

データを全社的に活用できる状態に整えるには、いきなりシステム統合を目指すのではなく、まず現状のデータを俯瞰し、整理のステップを踏むことが重要です。次の4つの流れで考えると、全体の道筋が明確になります。

  1. 散在状況の把握

    最初のステップは、「どこに、どんなデータがあるのか」を洗い出すことです。
    この段階では、形式や保管場所の違いに加えて、データの粒度(どの単位で記録されているか)も確認しておくと、後の統合や整備の見通しが立てやすくなります。

    主な進め方の例:
    ・各部門にヒアリングし、使用しているシステムやファイルを一覧化する
    ・共有フォルダやサーバー構成を目視確認し、データの種類や更新頻度を記録する
    ・顧客・製品・取引など、共通項目がどの程度一致しているかを把握する

    こうして散在状況を整理しておくことで、「どこに似たようなデータが重複しているか」「どの部門の情報を組み合わせると効果的か」が見えるようになります。

  2. データの所在一覧を作成

    次に、把握した内容を一覧化して見える化します。
    「どこに何のデータがあり、誰が管理しているか」をまとめることで、全体像を俯瞰しやすくなります。特別なツールは不要で、Excelでも十分に作成できます。

    主な整理項目の例:
    ・データ名、保管場所、担当部門
    ・更新頻度、ファイル形式、利用目的
    ・備考欄に「重複」「統合候補」などのメモを残しておく

    この一覧を作成することで、情報探索にかかる時間を大幅に短縮できるだけでなく、「このデータは使える/古い」などの判断もスムーズになります。
    👉 詳しい作り方や項目例は、「データの所在一覧(管理台帳)を作る」セクションでご紹介します。

  3. マスター整備

    部門ごとに異なる取引先コードや品目コードなど、表記や管理ルールの不統一は、データ統合の大きな障壁です。ここでは、そうしたルールを部門間でそろえることを目的とします。

    進め方の例:
    ・各部門のマスターリストを突き合わせ、表記ルールをすり合わせる
    ・取引先や製品の正式名称・表記揺れを確認し、共通フォーマットを決める
    ・新規登録や更新時のルールを明文化し、再発を防ぐ

    このようなマスター整備は、システム改修ではなく業務ルールの統一で進めるのがポイントです。
    👉 実際の整備ステップやルール化のコツは、「マスター整備を行う」セクションで詳しくご紹介します。

  4. 一元的に活用できる仕組みへ発展

    データの所在とルールが整理されると、各部門で個別に管理されていた情報を横断的に参照できるようになります。
    ここまで進むと、システム統合やBI導入などの“次のステージ”にスムーズに移行できます。
    この段階では、次のような変化が現れます。
    ・経営層から求められる数値を迅速に集計できる
    ・データ重複や抜け漏れが減り、報告の精度が向上する
    ・「どの部門の情報が活用しやすいか」を把握し、施策立案につなげられる
    データ活用の土台づくりは、整備して終わりではなく“活かせる状態”にすることがゴールです。
    このプロセスを段階的に進めることで、全体像を俯瞰しながら確実に整備を進められます。

 

データの所在一覧(管理台帳)を作る

「どんなデータが、どこにあるのか」を把握したら、次のステップはそれを見える化することです。この一覧を作る目的は、単に「まとめる」ことではなく、データを探す手間を減らし、全体像を俯瞰できる状態にすることです。

一覧化の目的とメリット

Excelなどの表形式で「データの所在」「管理担当」「更新頻度」などを整理しておくと、データの分布や重複状況がひと目で分かるようになります。

主なメリット:
  • 必要なデータをすぐに見つけられるようになる
  • 古い・重複したファイルの存在に気づける
  • 管理担当者や更新ルールを明確にできる
  • 「どのデータをつなげばよいか」の判断材料になる

この一覧は、システムを導入していない企業でもExcelで簡単に作成できるため、初期段階の整理に最適です。

 

一覧表の作り方(構成要素)

STEP1で棚卸しした情報を、表形式に落とし込みます。
以下のような項目を1行ずつ整理していくと、次第にデータの“地図”が見えてきます。

主な項目例:
項 目 内 容
管理番号 各データを一意に識別するための番号。後続のマスター整備や統合時に参照できるよう付与します。
データ名 データの名称(例:売上実績、在庫一覧、検査結果など)。
保管場所 ファイルサーバー、システム、クラウドなどの保存先。
担当部門 所有または更新を担当する部門。
更新頻度 データが更新される周期(日次/週次/月次など)。
ファイル形式 データの形式(XLSX、CSV、PDF、DBなど)。
利用目的 主な活用用途(報告資料、工程分析、管理会計など)。
備考 注意点や課題、統合候補などのメモ。
記載例(Excel表イメージ):
管理番号 データ名 保管場所 担当部門 更新頻度 ファイル形式 利用目的 備考
001 売上実績 ¥Sales¥2025¥MonthlyReport 営業部 月次 XLSX 得意先別集計  重複あり
002 生産計画 ¥Server¥ProdPlan 生産管理 週次 CSV  生産ライン調整 更新されていない
003 品質検査結果 QMSシステム 品質保証 日次 DB ロット分析 一部PDFのみ

このような一覧を作成することで、

  • 必要なデータをすぐに見つけられる
  • 古い・重複したファイルの存在に気づける
  • 管理担当者や更新ルールを明確にできる

といった効果が得られます。

また、一覧を関連部門と共有することで、「このデータはここにある」「似たような情報を重複して作っている」といった気づきが生まれ、部門間でのデータ共有意識の醸成にもつながります。

 

マスター整備を行う

部門ごとに異なるコードや表記ルールをそのままにしておくと、せっかく一覧化したデータも横断的に活用できません。データを正しくつなげるためには、共通の“軸”となるマスターを整えることが欠かせません。ここで言う「マスター」とは、取引先・製品・部品・担当者など、複数部門に共通して登場する基礎情報のリストを指します。
この整備を進めることで、部門間で「同じものを同じ名前で扱う」状態にすることができます。

何を統一すべきか

マスター整備の対象は、部門や業務によって異なりますが、特に次のような項目は“ズレやすく”“影響が大きい”ため、最初に確認しておくのがおすすめです。

よくある統一対象の例:
対象 不一致が起きやすい例 統一のポイント
取引先名 「㈱A商事」「株式会社A商事」「A商事(株)」など表記ゆれ 正式名称+支店名など、表記ルールを定義
製品・品目コード 営業は「P001」、生産は「PRD-001」、品質は「001」 管理コードをそろえる(桁数・接頭語など)
担当者名/部署名 略称・旧名称・漢字違いなど 組織マスターと照合して最新の名称に統一
日付・期間 「2025/10/23」「10月23日」「20251023」 フォーマットを決め、全データで統一
カテゴリ区分 営業はA/B/C、品質は1/2/3など 区分表を共有し、相互変換ルールを設定
単位・小数点 kg/グラム、0.5/0,5など 換算・丸めの基準を明文化

こうした不一致は、一見小さな違いでも統合や分析の結果を大きく歪める原因になります。
まずは「何が異なっているか」を一覧化し、優先順位をつけて整理します。

 

どうやって統一するか

統一の進め方は、大規模なシステム改修を伴わなくても始められます。現場での対話とルールづくりが中心です。

主な進め方のステップ:
  1. 各部門のマスターリストを突き合わせる
    営業、生産、品質など、部門ごとに管理しているリストを照合し、項目名・コード・表記方法の差異を明らかにします。
  2. 表記ルールを決める
    表記ルールとは、データの値(名称やコード)の付け方のルールです。
    例:「取引先名は正式名称+支店名」「製品コードは4桁+枝番」など。
    ファイル名や列名ではなく、データそのものの記述方法を統一します。
  3. 不一致箇所の対応を決める
    差異が見つかった場合は、すぐ修正できるものから優先して整備します。
    どちらを正とするか判断できない場合は「橋渡し表(マッピング表)」を作成し、両方のコードを対で管理します。
  4. ルールを共有し、再発を防ぐ
    統一ルールを社内ポータルや手順書にまとめ、新規登録や更新時に参照できるようにします。
    これにより、整備後の再分散を防ぎます。

 

棚卸表(マッピング表)の記載例:

この棚卸表は、部門ごとに異なるコードや名称を対応づけ、整備の経過と確定結果を一元的に管理できるシートです。
Excelで作成でき、確認・修正の進捗を色分けして運用することで、マスター統一を無理なく進められます。

営業部コード 営業部名称 生産管理コード 生産管理名称 統一名称(確定) 備考
C001 株式会社A商事 TR001 ㈱A商事 株式会社A商事 表記ゆれ修正
C002 B商会 TR005 B商会(東京支店) B商会(東京支店) 支店名追加
C003 C CO.,LTD TR008 C株式会社 C株式会社 英文表記統一

このように照合・整備を行うことで、異なる部門のデータを同じ軸で比較・集計できるようになり、“バラバラだったデータが一つの文脈で読める状態”が整います。

 

一元的に活用できる仕組みへ発展

整備したデータを“活かせる状態”へ

データの所在とルールが整理されると、各部門で個別に管理されていた情報を横断的に参照できるようになります。この段階では、経営層や他部門からの情報要求に対し、必要なデータを素早く抽出し、正確に報告できるようになります。ここまで進むと、システム統合やBI導入といった“次のステージ”にもスムーズに移行できます。

この段階では、次のような変化が現れます。

  • 経営層から求められる数値を迅速に集計できる
  • データの重複や抜け漏れが減り、報告精度が向上する
  • 「どの部門の情報が活用しやすいか」を把握し、施策立案につなげられる。

 

一元化の進め方

データの一元化というと、「新しいシステムを導入する」「データベースを統合する」といった大掛かりなイメージを持たれがちです。しかし、まずは既存のファイルやシステムを活かした“仮想的な一元化から始めるのが現実的です。

ポイント:
  • 部門ごとのデータをコピーせず、既存の場所から横断的に参照する
  • 統一されたマスターを“共通のものさし”として利用する
  • 検索・参照・抽出のルールをそろえることで、分析・報告の再現性を高める

これにより、部門間でのデータ共有が進み、重複入力や確認作業を減らすことができます。

 

次のステップへ

整備が進むと、日々の業務におけるデータの使われ方も変わってきます。

  • 各部門での集計作業が減り、データ分析に時間を使えるようになる
  • 全体を俯瞰した指標づくりが進み、経営判断のスピードと精度が向上する
  • 組織全体で「共通のデータを見ながら話す」文化が定着する

データ活用の土台づくりは、整備して終わりではなく、“活かせる状態”にすることがゴールです。
段階的に取り組むことで、システム改修を待たずとも、全体像を俯瞰しながら確実に整備を進められます。

 

データ活用までの段階的な進化イメージ

  1. 散在(見えない):各部門・担当者にデータが点在し、全体像が把握できない状態。
  2. 整理(所在を把握):どこにどんなデータがあるかを一覧化し、台帳にまとめる。
  3. 整備(ルール統一):表記やコードを統一し、部門をまたいで整合性を確保。
  4. 活用(全体を見える化):統一マスターを軸に横断参照・分析が可能に。

 

まとめ

マスターを整備し、部門をまたいでデータを横断的に参照できるようになると、日々の報告や意思決定のスピードが格段に上がります。しかし、実際には「どこまで整備すればいいのか」「統合の負荷をどう抑えるか」といった新たな課題に直面することも少なくありません。

私たちは、既存のシステムやファイルをそのまま活かしながら、部門横断でデータを参照・分析できるデータ活用基盤をご提案しています。データをコピーしたり移行したりすることなく、“つながる仕組み”を実現できるため、段階的な整備の延長線上で、すぐに効果を実感していただけます。

まずは、現在のデータの所在や整備状況をお聞かせください。
お客様の目的や運用体制に合わせて、最適な進め方をご一緒に検討いたします。

 

 

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