課題別ご提案例部門ごとのデータ分析では、経営課題の原因追及が部分的な回答にとどまってしまう

お役様のお悩み

経営層から「業績が伸び悩んでいる原因を明らかにするように」と求められていますが、部門ごとのデータ分析では部分的な結果しか得られず、全体像を突き止めることができません。営業部門では「需要減少」、生産部門では「歩留まり低下」、調達部門では「部品コスト上昇」と、それぞれの要因が並ぶだけで、全社的な視点での因果関係を説明できないのです。そのため、経営層への報告でも「部分的な要因にとどまる」回答しかできず、次のアクションを示すには不十分だと感じています。

JIMの提案

経営課題の原因追及が部分的な回答にとどまってしまうのは、多くの企業に共通する悩みです。部門ごとに分析しても、要因が縦割りに並ぶだけで全体像を説明できず、経営層に十分な示唆を提供できない状況に陥りがちです。

一般的な対応としては、部門横断の会議を設けてデータを持ち寄り、それぞれの知見を共有する方法があります。また、指標やレポート形式を部門間であらかじめすり合わせておけば、分析結果を比較しやすくなり、全社的な視点に近づけることができます。これらの取り組みは有効であり、原因追及を一歩進めるための現実的な手段です。

私たちは、こうした取り組みをさらに支援する仕組みとして、既存の部門システムやファイルをそのまま活かしながら横断的にデータを参照できる「データ活用基盤」をご提案しています。部門横断会議や定義のすり合わせを補完する形で、営業・生産・調達・品質といったデータを一元的に照らし合わせることができ、従来は見えにくかった因果関係を明らかにできます。

例えば、売上低下の背景を調べる際に、営業データと生産計画を突き合わせると、需要変動に加えて生産計画の遅れが影響していることが判明することもあります。さらに調達コストのデータを加えれば、「需要減少とコスト上昇が利益を圧迫している」といった全社的な視点で説明できるようになります。

まずは原因を探りたいテーマや、現状のデータの保管・管理状況をお伺いし、データを扱いやすくするための整備やクレンジング、活用しやすい基盤のご提供を通じて、全体を見渡せる分析環境づくりをサポートいたします。現在お困りの点や気になっているテーマについて、ぜひお聞かせください。

全体像をつかむためのデータの見方

経営層から「業績が伸び悩んでいる原因を明らかにしてほしい」と求められる場面は少なくありません。
しかし、営業・生産・調達など部門ごとにデータを分析しても、部分的な結果しか見えず、「全体として何が起きているのか」を説明できない──そんな悩みを耳にします。

「需要減」「不良率増」「コスト上昇」といった要因が並ぶだけでは、経営層が納得する“因果の説明”には届きません。
結果として、「各部門の報告をまとめただけ」の内容になり、次の一手を導き出すことが難しくなってしまいます。

データを“つなげて見る”ことの価値は、原因と結果の流れを行き来しながら考えられることにあります。
ひとつの数値の変化だけを追うよりも、「その前に何が起きたのか」「その後にどう影響したのか」を見ることで、改善すべきポイントの優先順位や、取り組みの順番が見えてきます。

ここでは、部門単位の分析にとどまらず、“つながり”で原因を追うための5つの工夫を紹介します。

 

1. 部門をまたいでデータを見てみる

最初の一歩は、部門ごとのデータを横並びで見てみることです。営業・生産・調達など、ふだんは別々に管理されている数値をひとつの表に並べるだけでも、意外な関係が見えてくることがあります。

たとえば、

  • 営業では「受注減少」
  • 生産では「計画どおり稼働」
  • 調達では「部品コスト上昇」

という三つの事象を同じ期間で比較すると、「需要が落ちたのに生産を減らせず、在庫が増えたうえに原価も上昇して利益を圧迫していた」というように、全体としてのつながりが浮かび上がります。

ほかにも、

  • 生産では「歩留まり低下」、品質管理では「不具合の再発増加」
    → 製造コストが膨らみ、改善活動の遅れが経費増につながっていた。
  • 調達では「発注リードタイムの延長」、営業では「納期回答の遅れ」
    → サプライチェーン上の遅れが、そのまま顧客対応の遅延につながっていた。
  • 生産では「段取り替えの増加」、経理では「製造間接費の上昇」
    → 多品種少量化が進む中で、現場負荷と原価の上昇が連動していた。

このように、部門をまたいで数値を並べてみるだけでも、数字の裏にある“現場の動き”や“経営への波及”が見えてきます。
部門ごとに管理目的や指標が異なるため、同じ「売上」や「原価」という言葉でも、部門間で定義が微妙に異なることがあります。まずは、「どの数値を基準に比べるか」を意識しながら、共通の切り口で見比べてみることが大切です。

💡実務のヒント
Excelなどで「月」を横軸に、主要な部門を縦に並べ、受注・生産量・在庫などの主要指標を入力してみましょう。たとえデータの精度がばらついていても、動きや傾向を見比べるだけで、「どの部門の変化が他に影響しているか」をつかむ手がかりになります。完璧な連携環境がなくても、まずは“見える化の第一歩”として取り組むことが効果的です。

 

2. 時系列で“つながり”を追ってみる

データを横並びに比較するだけでは見えないのが、「時間のずれによる影響」です。ある変化が起きたとき、その結果はすぐに表れるとは限りません。営業・生産・在庫・原価といった数値は、部門ごとに反映のタイミングが違うため、同じ月のデータだけを見ても“因果の流れ”をつかみにくいのです。

たとえば、こんなケースがあります。

3月:受注減(営業)

4月:生産計画の調整遅れ(生産)

5月:在庫積み上げ(在庫管理)

6月:値引き販売による粗利率低下(財務)

このように時系列で並べてみると、「業績悪化」という結果の前に、どのタイミングで何が起きていたのかが見えてきます。

 

フローで見るためのコツ

「時系列で見る」といっても、単に月ごとのグラフを並べるだけでは関係性がわかりづらいものです。そこで役に立つのが、“部門ごとの変化点”を横断して並べる方法です。

  1. それぞれの部門で“変化が起きた時期”をピックアップする
    例:受注が減った月、生産実績が下がった月、不良率が上がった月など。
  2. それらを1本の時系列軸に並べる
    「3月に営業で受注減 → 4月に生産遅れ → 5月に在庫増」といった流れをメモ上で描くだけでも十分です。
  3. 同じ時期に起きている現象を“横でつなぐ”
    たとえば「4月に生産遅れ」「同月に仕入コスト上昇」など、同時期の変化点を並べてみると、並列的な関係(=影響が重なっている箇所)が見えてきます。

このように、表計算ソフトで月を軸に「部門ごとの変化点」を書き出すだけでも、まるでフロー図のように因果の流れを“視覚的に”把握することができます。

 

データの組み合わせ方のヒント

  • 営業 × 生産:受注量と稼働率を並べると、過剰生産や在庫増の兆しが見える。
  • 生産 × 品質:生産量と不良率を重ねると、増産期に品質リスクが高まる傾向が見える。
  • 生産 × 在庫 × 財務:在庫推移と粗利率を合わせて見ると、資金繰りへの影響が把握できる。

これらを“同じ時間軸”で並べていくと、数値の上下がバラバラに見えていたものが、「流れ」として一本のストーリーに変わります。経営層が求める“原因から結果までの見通し”は、こうした時間軸の整理から生まれます。

💡実務のヒント
特別なツールがなくても、Excelで十分です。横軸に月を取り、縦に主要部門を並べて、気づいた変化を「○」や「↑↓」でメモしていくだけでも、数か月後の結果につながる“前触れ”を見つけられます。
このシンプルな作業を続けることで、データが“点”から“流れ”に変わり、次に打つべき手が見えやすくなります。

 

3. 数値の“ものさし”をそろえる

部門をまたいでデータを見るときに意外と多いのが、「同じ指標のはずなのに、数値が合わない」というケースです。
原因の多くは、“ものさしの違い”──つまり、単位や集計の基準が部門ごとに異なっていることにあります。

見落とされやすい“ズレ”の例:
  • 集計期間の違い:営業は月初〜月末で集計、生産は締め日ベース、財務は会計月ベース。
  • 単位の違い:営業は「台数」、生産は「ライン稼働率」、財務は「金額」。
  • 粒度の違い:営業は製品カテゴリ、生産は機種単位、原価は工程単位。

こうしたズレがあると、数字を並べても関係が見えません。同じ“在庫”や“原価”の話をしていても、見る角度が違えばまったく別の数値になってしまうのです。

 

“そろえる”ための工夫

ポイントは「何を基準に比べたいか」を最初に決めることです。部門間の整合性をとるには、まず“共通の軸”を設定します。

たとえば、

  • 営業・生産・財務のすべてで「月次」を基準にそろえる
  • 比較する際は「金額」「比率」「数量」のどれかに統一する
  • 可能であれば「製品カテゴリ」や「主要ライン」など、共通の分類で見る

こうすることで、「同じタイミング・同じ尺度」で各部門の動きを並べられるようになります。

💡実務のヒント
まずは、よく使う指標を整理してみましょう。「営業が追っている数値」「生産が報告している数値」「経理が扱っている数値」を一覧にし、それぞれの単位・集計期間・算出方法を簡単にメモするだけでも、“そろえるべきもの”が見えてきます。
もし指標の定義がバラバラでも、焦らなくて大丈夫です。最初は「どれが共通軸にできるか」を探すことから始めれば十分です。ものさしをそろえることで、データの比較がしやすくなり、「どの数字を信じて意思決定すればよいか」が明確になります。それが、経営企画が分析結果を“経営判断に活かせる情報”へと変える第一歩です。

 

4. 複合的に見ることで“気づき”を増やす

部門をまたいでデータを見たり、時系列で追ったりすると、単一の指標だけでは説明できない関係が見えてきます。そこで一歩進んで、複数の指標を掛け合わせてみると、思いがけない“弱点”や“兆し”を発見できることがあります。

たとえば、在庫の「回転日数」と品質の「不良率」を組み合わせて「在庫健全性」という指標をつくると、次のような気づきが得られます。

  • 回転日数が長く、不良率も高い月がある
    → 売れ残りが増えるだけでなく、品質リスクを抱えた在庫が滞留している可能性。
  • 逆に、回転日数が短く、不良率も低い月がある
    → 生産・販売・品質のバランスがうまく回っている状態。

このように、二つの数値を掛け合わせて見るだけでも、現場のムリ・ムダ・ムラがどこに潜んでいるかが見えてきます。

 

“矛盾”を見つけるのがコツ

複合的に見る最大のポイントは、矛盾を探すことです。「本来は一緒に動くはずの数値が逆を向いている」「いつもと違う波形をしている」──この“違和感”に気づくことが、原因を突き止める一番の近道になります。

① 一緒に動くはずの指標がズレていないか
  • 生産量が増えているのに売上が伸びない → 在庫過多や製品ミックスの偏り
  • 稼働率が上がっているのに粗利率が下がる → 残業や外注増による原価上昇
② 補完し合う指標がバランスを崩していないか
  • 不良率が下がったが納期遅延が増えている → 検査強化でリードタイムが延びた
  • 在庫が減ったが欠品が増えている → 需要予測や補充ルールに課題
③ 結果系と要因系をセットで見る

→ どちらが先に動いたかを見ることで、因果の向きが見えてくる。

  • 「粗利率 × 歩留まり率」
  • 「納期遵守率 × 生産計画達成率」
  • 「売上 × 在庫回転率」
④ “いつもと違う月”を探す
  • 通常は稼働率と歩留まりが連動しているのに、特定月だけ逆になっている
  • 例年4月に在庫が減るのに、今年だけ増えている

こうしたズレを見つけたときこそ、「なぜ?」を掘り下げるチャンスです。複合的に見るとは、単に指標を増やすことではなく、“想定と違う動き”を探す観察の目を持つことなのです。

💡実務のヒント
複合的な指標づくりは、難しい計算式をつくる必要はありません。Excel上で二つのグラフを重ねたり、相関をざっくりプロットしてみるだけでも、「つながり」や「ズレ」が直感的に見えるようになります。
こうした“違和感”の積み重ねが、経営課題の早期発見や、次の改善テーマの発掘につながっていきます。つまり、複合的に見ることは、データの数を増やすことではなく、“見え方を増やすこと”なのです。

 

5. 外部データを“ひとつの軸”に加えてみる

これまで、社内のデータを部門ごと・時系列・指標の視点から整理し、それぞれの“つながり”を見てきました。次のステップは、社内の枠を超えて、外のデータをひとつ重ねてみることです。
どれだけ丁寧に社内データを見ても、その数字は“自社の中で起きたこと”しか語りません。一方、原材料価格や市況、景気指数、天候、為替などの外部データをひとつ取り入れるだけで、その数値が「なぜ動いたのか」を理解する手がかりになります。

社内データだけでは見えにくい構造

たとえば、調達コストが上がったとき、

  • 原材料価格指数も同じように上昇していれば → 市況要因と判断できる。
  • 指数が横ばいなのに自社だけ上がっていれば → 自社調達や契約条件の問題が疑われる。

同じ“コスト上昇”でも、外部データを一つ重ねるだけで、「環境変化」なのか「社内課題」なのかを切り分けられるようになります。

また、

  • 為替と輸出売上を重ねてみると、どの程度の影響を受けているかが見える。
  • 気温データと生産ラインの稼働データを重ねると、夏季の歩留まり変化が把握できる。
  • 景気指数と出荷台数を重ねると、需要動向に対する感度を定量的に測れる。

こうした“外の軸”を加えることで、社内の数字が「相対化」され、判断の解像度が高まります。

💡実務のヒント
外部データの活用といっても、最初から大規模なデータ連携は必要ありません。
まずは公的統計やオープンデータを活用して、自社の主要指標(売上・原価・不良率など)と同じ期間軸でグラフを重ねてみるところから始めてみましょう。

  • 原材料価格指数(日本銀行・総務省統計局など)
  • 為替レート(日本貿易振興機構 JETRO)
  • 景気動向指数、鉱工業生産指数(経済産業省)
  • 気象庁の気温・湿度データ

Excelに外部データを貼り付け、社内データと並べて折れ線グラフを描くだけでも、「外の動き」と「社内の反応」が直感的に見えるようになります。この“ひとつの軸を足す”視点が、分析の精度をぐっと高めます。

外部データを組み合わせることで、これまで“結果としての数字”だったものが、「なぜそうなったのか」を語るデータへと変わります。社内データを深掘りする分析と、外部データで補う視点。その両方を意識することで、どの部門の方でも、自分の業務をより広い流れの中で捉える力が身につきます。

自社の中の数字だけで判断せず、外の動きと照らし合わせてみる──。この小さな一歩が、日々の改善にも経営判断にも役立つ“広い視野の分析”につながっていきます。

 

“つながり”で原因を探ると見えてくること

業績の原因を探るとき、ひとつの指標だけを深掘りしても、全体の流れは見えにくいものです。

今回紹介した5つの工夫──

  • 部門をまたいで見る
  • 時系列で追う
  • ものさしをそろえる
  • 複合的に見る
  • 外部データを加える

は、いずれもバラバラな数字を“つなげて見る”ための実践的な考え方です。

完璧な仕組みや高度なツールがなくても、データを「横につなげる」「時間で並べる」「外の軸を足す」といった小さな工夫を重ねることで、見え方は確実に変わっていきます。
社内に眠るデータを少しずつ整理し、“点”の情報を“流れ”として読み解いていく──それが、業績の背景を明らかにし、次のアクションを導く第一歩です。

データ活用や分析の進め方でお困りの際は、ぜひご相談ください。既存のシステムやファイルを活かしながら、データ活用基盤の提供やデータ整備・クレンジングなど、お客様の現場に合わせた最適な方法でサポートいたします。

 

 

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